2015/2/27~3/9 チリ
鳥人伝説残るオロンゴ儀式村
まずは、イースター島の「鳥人儀礼」について。
かつてイースター島では「モアイ崇拝」が行なわれていました。しかし、人口爆発・資源枯渇・食糧不足が発生し、部族間で「モアイ倒し戦争」が始まりました。モアイ像は次々と倒され、モアイは人々の崇拝の対象でなくなりました。
「モアイ崇拝」が行われなくなると、古い神である「創造神マケマケ」が信仰の対象となり、「鳥人儀礼」が行なわれるようになりました。
「鳥人儀礼」とは、創造神マケマケの化身「鳥人(タンガタ・マヌ)」を選出するための儀礼。小島に最初に産み落とされるマヌタラ(軍艦鳥)の卵を、どの部族の代表者が持ち帰るのかを競うレースです。
最初の卵を持ち帰ってきた部族の首長が、次の年の宗教的・政治的実権を握る「鳥人(タンガタ・マヌ)」となります。これは、創造神マケマケがマヌタラ(軍艦鳥)に導かれてイースター島に来た伝説に基づいている、とされています。
それでは、画像と共に、この「鳥人儀礼」を見ていきましょう。
「鳥人儀礼」レースのスタート地点は「オロンゴ儀式村」です。儀式のための村であり、復元された建物があります。場所は、イースター島の南、前回ご紹介した「ラノ・カウ展望台」のすぐ近くにあります。
部族の代表は「オロンゴ儀式村」をスタートし、まずは約280メートルの断崖絶壁を下って海に飛び込みます。下の画像は、「オロンゴ儀式村」の資料館に展示されていた、その様子を表したものです。「これは勇敢さを競うコンテストであり、毎年多くの参加者が深い崖へと飛び降りました」と記されています。
次に、葦の浮きを手に、1,500メートルほど泳ぎます。海は流れが速く、サメも多かったため、ここで命を落とす者もいたようです。
どんな海を泳いでいたかと言いますと、下の画像の海です。距離はそう遠くはないように見えますが、あまりの風の強さから、この海を泳ぐことは容易ではないことが想像できました。
参加者が目指す島は、画像の一番奥の島です。「モトゥ・ヌイ(Motu Nui)」という名の島で、ラパ・ヌイ語で「大きな島」という意味です。
島に渡ると、洞窟の中でマヌタラ(軍艦鳥)の卵が産み落とされるのをじっと待ちます。
そして、最初のマヌタラ(軍艦鳥)の卵を見つけた者は、卵を捕獲し、額に巻き付けて、再び泳いで戻ります。
持ち帰られた卵は、その部族の首長に渡され、その首長は鳥人(タンガタ・マヌ)となります。鳥人となった首長は、1年間外出もせず、髪や爪も切らなかったようです。
この儀式、なんと1866年まで続けられていたそうです。
正直なところ、イースター島と言えば「モアイ像」しか知りませんでした。ですが、モアイ像以外にも、こんな興味深い伝説もあったとは…。
世界を旅していなければ、私はきっと知らずに一生を過ごしていたことでしょう。旅をすると、知らなかったことを知る機会が格段に増え、その都度新しい発見に感動し、更に「もっと知りたい」と興味関心が膨らんでいきます。旅をすればするほど旅の中毒になるのは、こういったことが理由の一つなのでしょう。
そういえば、イースター島で、こんなピアスを買ってきました。「鳥人」ピアスです。大のお気に入り。
「オロンゴ儀式村」の場所です。
>> 次は、食人洞窟「アナ・カイ・タンガタ」をご紹介します。
─ イースター島 ─
(9) ラノ・カウ展望台 (10) オロンゴ儀式村
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