信濃毎日新聞社さん発行の「MGプレス」第310号にて、トークイベントや世界旅のことなどを紹介していただきました。
「地球が大好き」経験伝える
海外滞在987日、55ヵ国訪問 宮田知佳さんトークイベント
世界を3周半、987日間で、55カ国。ワールドトラベラーと称する宮田知佳さん(塩尻市広丘吉田)が訪問した国の数と滞在日数だ。
大阪の大学を卒業し、地元で就職。仕事が好きで、仲間にも恵まれ、何の不満もない生活を送っていたが、ある日ふっと頭に降りてきた「インド」に心を奪われた。「なんでインド?」。この疑問を解こうと、現地へ向かったのが、世界中を旅する第1歩だった。
最初はあらかじめ目的地も期間も決めていたが、そのうち、プランも持たず、行きたい国で居たいだけ滞在するという、自分の心の声に従う旅スタイルに変わった。「地球が大好き」な自身の経験を伝えようと、松本市でトークイベントなどを開いている。18日にはイランやトルコでの滞在について話した。
常識やプライド捨て幸せな旅
ワールドトラベラー 宮田知佳さん 塩尻市
18日、古書雑貨販売の「恋する虜」(松本市城東1)で、宮田知佳さんが「旅トーク」の第8弾として、イランとトルコをテーマに話した。
トルコには、2016年の軍によるクーデター未遂事件直後に入国。「イスタンブールは人が少なく、国旗をたくさん見かけた。観光客も少なく、ホテルはがらがらだった」と言う。カルダモンが入ったトルココーヒーを味わい名物の「サバサンド」を食べたこと、イスラム教の祈りの手段、旋回舞踊セマーの様子など、トルコで体験したことなどを写真と共に語った。
突然のインド
世界を旅するきっかけとなった「インド」。「会社の仲間との飲み会、ちょっと抜けて休んでいたら、降ってきたんですよね。インドという文字が」と話す宮田さん。全く関わりのない国なのに「何だろう」という思いが翌日、旅行代理店に向かわせた。13年のことだった。
ツアーで出掛けたインドでは、大きな衝撃と感動を受けた。帰国してもインドが気になり、本などで調べるだけでは物足りず、夏休みや年末年始に、何度も答え探しの旅に出掛けた。
インドは私に何をしでかしたんだ―。足しげく通う中で、少しずつ核心が見えてくる。ガンジス川のほとりで死体を焼くなど、生と死がごちゃまぜの世界を見て、「相反するものが同じように受け入れられていることに衝撃と感動を受けた」。
生き方への問いかけも始まった。「仕事中心で、狭い世界で生きている。地球の一部しか見ていないんじゃないか」。「死ぬまでにしたいことリスト」を書き始めたのもこの時期だ。リストを書いて、いろいろな世界を見て歩きたいことが明確に分かったという。
世界中の国へ
それからの行動は早かった。会社を辞め、世界一周航空券を手に入れる。周りから反対されたが、「世界を旅して帰ったら、今より幸せになれる」という自信に揺らぎはなかった。1年の準備期間を経て、15年、オーロラを見に、まずカナダに向かった。
世界一周航空券は、有効期限、フライト数などが決まっており、事前にある程度、行き先、滞在日数などを決めていたが、2回目からはノープランに。ガラパゴス諸島(エクアドル)ではダイビングを楽しみ、本で知った進化を遂げた野生動物を目の当たりにし、地球の素晴らしさをさらに実感した。
「どこに行くかより、誰に会うかに旅のテーマが移行しましたね」と宮田さん。ギリシャのミコノス島では、宿の女主人と知り合い、2週間家族のように暮らした。「生活するように旅ができたらいいが実現でき、感動した」
旅で学んだことは、捨てること。重い荷物を見直し、いらないプライドも捨てることで、言葉へのコンプレックスもなくなった。「英語を話せる話せないではなく、命を守ることが一番大事」。日本では常識も、海外では通用しないこともある。「文句を言ってる暇があったら受け入れる。これまでの習慣、常識を捨てることで旅がより楽しめる」
迷わず一歩を
アイスランド、スペイン、ウズベキスタン、エクアドル、イスラエル、トルコ、ケニア―。働いていた時の蓄えを元に55カ国を巡り、18年5月に帰国。6月からは、カフェや美容室などでトークイベントを始めた。「こんな私でも世界一人旅ができた。自分の経験を通し、迷っている人の背中を押し、一歩踏み出すきっかけになるなど、いろいろな人の力になれたら幸せ」とほほ笑む。
次回の「旅トーク」はメキシコ編。8月24日午後6~8時、「恋する虜」で。参加費1000円(ドリンク付き)。問い合わせ、予約はメール(eclipser.mm@gmail.com)で。 (八代けい子)
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