特別な場所「上高地」
世界三周半の旅を終え、地元信州に戻り、真っ先に向かった先は「上高地」です。私にとって特別な場所なのです。 私にとって特別な場所と書きましたが、これには幾つかの理由があります。
そのいくつかある理由の一つについて、少し書きたいと思います。 皆さんは、何かを選択するとき、どのように決めますか? 過去の選択や、過去の体験・経験を参考にしますか?
それとも、どちらが得かを考えますか?
もしくは、誰かに相談しますか?
はたまた、そのときの直感で決めますか?
実は私、そういったときに「上高地」の力を借りるのです。 「上高地」の力といっても、上高地の神様の力を借りるというような類のものではありません。 私には、迷ったとき自分に向ける「定番の質問」があります。 それが、 “上高地にいるときの私なら、どちらを選ぶ?” なのです。 上高地にいるときの私は、たいてい上機嫌です。上機嫌といっても、テンション高めのイエーイ!という感じではなく、ちゃんと地に足が付いたような落ち着きもあります。清々しい気分といったほうが適切でしょうか。たとえモヤモヤを持ち込んだとしても、しばらくするとスッと抜けているのです。 そういった状態の自分ならば、自分にとってより良い選択ができると思っているのです。 話が長くなってしまいましたが、そういったわけで、上高地は私にとって「特別」な場所なのです。
世界に誇れる早春の上高地
世界旅に出る前も上高地の魅力を十分に知っていたのですが、数々の世界の美しい場所を訪れ、改めて「上高地は世界に誇れる美しい場所」だと思うようになりました。
澄んだ空気に、澄んだ梓川の清流。心に清々しい風が通り抜けていくようです。
明神岳(みょうじんだけ)と梓川です。何度、この景色に勇気をもらってきたことでしょう。
今回のルート
今回は、上高地バスターミナルでバスを降りて、河童橋、明神を経て、徳沢まで行きました。途中の寄り道も含め、20キロちょっとの散策です。
途中、登山者にも会いました。
とりわけ美しいのが、早春の上高地。
長い冬を越え、あちらこちらで、健気ながらも力強い芽吹きが見れるこの季節は、どこを見ても輝いて見えます。 今年は花の便りが早く届き、多くの可愛らしい花々を見ることができました。
山荷葉(サンカヨウ)
高さ30~70センチ、花の直径は2センチほど。雨に濡れると花びらが半透明になり、まるでガラス細工のような美しさです。
この日は見事に晴天。ガラス細工の山荷葉は次回のお楽しみに。
山荷葉の蕾です。「がんばって」と声を掛けたくなります。
小深山片喰(コミヤマカタバミ)
クローバーのような葉が特徴で、直径2~3センチほどの小さな白い花には赤紅色のスジが入ります。光が当たると花が開きます。
燕万年青(ツバメオモト)
ツヤツヤした葉と、小さいながらもユリ科らしいスッとした白い花が印象的です。薄暗い針葉樹の林床を明るくしてくれる妖精のような存在です。
蝦夷紫(エゾムラサキ)
日に照らされてキラキラと輝く青紫色の宝石。花は直径1センチにも満たないのですが、新緑の中で群生し、よく目立ちます。上高地を代表する花の一つです。
竹縞蘭(タケシマラン)
そっと葉をめくって、その控えめな花を見つけると、思わず「みーつけた!」と声をあげてしまいます。赤くて透明な実をつける秋の季節にも、このかくれんぼ遊びを楽しみます。
延齢草(エンレイソウ)
「ユリ科の植物の花葉は3の倍数」であることがよく分かるこの植物。大きな葉が3枚、萼片も3枚(緑色を帯びた紫褐色に見えるのは花弁でなく萼片)です。
本石楠花(ホンシャクナゲ)
上高地でこの花に出合うときは、たいてい急斜面の手の届かない高いところに咲いていますが、今回は幸運なことに、近距離から写真を撮ることができました。
二輪草(ニリンソウ)
上高地バスターミナルから2時間ほどで、上高地の奥座敷・徳沢に到着です。徳沢といえば、この季節に咲く二輪草(ニリンソウ)です。ハルニレの林床に白いじゅうたんが敷かれているようです。
コロンと横になり、明神岳と前穂を望みます。
牧歌的なこの場所は、かつて牧場だったそうです。
徳沢だけでなく、上高地のあちらこちらで二輪草が群生しています。中には緑色の二輪草もあります。お出かけの際は是非探してみてください。
馴染みのお蕎麦屋さん
上高地の帰りは、馴染みのお蕎麦屋さんに寄るのが私の定番です。親戚のお宅にお邪魔するような雰囲気で、ほのぼのと心和みます。
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