決して失敗は許されない!?
人生をかけた大プロジェクトが始まり、日本を飛び出した私は、ガチガチに緊張していました。
それは「危険な目に遭いはしないか」という不安からではなく、「決して失敗は許されない」というプレッシャーからくるものでした。
人生最初で最後の世界一周の旅。
決して失敗は許されない。
失敗しないためには、
「騙されちゃダメ」
「損しちゃダメ」
「舐められちゃなめられちゃダメ」
「無駄にしちゃダメ」
「間違えちゃダメ」。
今思えば、
そんな「ダメダメ」プレッシャーを抱えていては、
とても窮屈で、楽しむどころではなかったと思います。
本当に間違えちゃダメなの!?
とりわけ「間違えちゃダメ」に関しては
多岐にわたり数多く存在していました。
例えば、
・飛行機に乗る手順を間違えちゃダメ
・チケットの買い方を間違えちゃダメ
・宿までの道順を間違えちゃダメ
・シャワーの使い方を間違えちゃダメ
・オーダーの仕方を間違えちゃダメ、等々。
でもそれって、本当に「ダメ」なのでしょうか?
これらは全て手順や方法。ちょっと大きな心で見れば、多少間違えたって問題のない範囲。
それなのに、本気で「ダメ」「許されない」と思っていた私。
このことに気付いたとき、私はクスっと笑ってしまいました。
何故なら、私は日本に肩書やプライドなんて全て置いて飛び出してきたつもりでした。
ですが、あらイヤだわ、まだカッコつけようとしている、と気付いたからです。
確かに手順や方法が違わなければ、スムーズでスマートでカッコいい。
だけど、旅をする上で、それってそんなに大切なことなのかしら?
私はカッコつけるために旅をしているのではない。
ただ楽しむために旅をしているはずなのに…。
本当に「人生最初で最後の世界一周」!?
3ヶ国目のメキシコで、心の底から「また来れたらいいな」と思いました。何故なら、メキシコで大切な友達が出来たからです。彼女らと過ごした時間は一生の宝物で、ずっと大切にしていきたいと思いました。
そして、そのときふと、疑問が湧いてきました。
…本当にこれは、人生最初で最後の世界一周の旅なの?
確かに世界一周の旅は時間とお金が掛かるもので、気軽に出来るものではない。
けれども、今回の旅が終わってから、再びメキシコに来るかもしれない。
そして、それが2度目の世界一周となるかもしれない。
どうして私は「最初で最後」と決めつけているのだろう?
そう疑問に思えたとき、なんだか私の旅を窮屈にしていた「足かせ」のようなものが外れた感じがしました。「足かせ」が外れると気分が軽くなり、そのおかげで、ちょっと広い視野や別の角度から自分の旅を見れるようになってきました。
決めつけをなくしたら優しい世界が見えてきた
カッコつけのための「ダメダメ」を止め、まずは「楽しむこと」を優先しようと思いました。
何でも自分の力でやらなければと躍起になることをやめ、ちょっと力を抜いてみる。そうすると、私の周りは優しい世界が広がっていることに気付きました。
例えば、バスのチケットを買うとき。
自分で何とかしなければと思っていたときには、不安な顔など見せてはいけないと必死で案内板を睨んでいました。ですが、ちょっと力を抜いてみると、販売窓口の人が「分からないなら助けるよ」と微笑んでいるのが目に入ってきます。
スーパーに入れば、野菜の買い方を教えてくれる人がいます。
屋台に並べば、こうやればうまく食べられるんだよとお手本を見せてくれる人がいます。
「最初で最後の世界一周」という決めつけ、最初で最後だから「失敗は許されない」という決めつけ、失敗は許されないから「何でも自分の力でやらなければいけない」という決めつけ。これらの「決めつけ」が私の世界を狭くしていたのです。
私は旅を通じて「捨てる」ことを学びました。
この「決めつけ」も、捨ててきたものの一つです。
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